「北海道サマータイム」導入による効果
― レジャー ・ 観光産業への経済波及効果 ―



平成15年10月
札幌商工会議所 サマータイム小委員会


1.はじめに
    (1)札幌商工会議所が提唱する「北海道サマータイム」の定義
      北海道は、わが国の中で最も高緯度に位置し、夏季における明るい時間が道外に比べ長いことから、自然特性を活かし地域限定の「北海道サマータイム」導入を図ろうとするものである。毎年4月第一日曜日から9月最終日曜日までの約6ヶ月間において、日本標準時より1時間ないし2時間時計を早める。

    (2)日本におけるサマータイム
      1948年(S23)、GHQ指令により「夏時間法」が制定され、サマータイム制度を実施したが、1952(S27)年に廃止。1979年(S54)〜1980年(S55)、1989年(H1)に省エネ目的で検討されたが、結果的に見送られている。

    (3)世界におけるサマータイムの実施状況
      世界では、欧州38カ国をはじめ、68カ国がサマータイム制(1時間)を実施している。
      OECD加盟国30カ国中27カ国が実施。未実施国は日本、韓国、アイスランドと少数派である。



2.北海道サマータイムの導入によって生じる効果
    夏期6ヶ月間において、標準時より1時間ないし2時間早めることにより予想される効果のうち、主には次の6項目である。

    @経済波及効果  A交通安全・防犯効果  B省エネ効果
    C北海道PR効果 D教育・意識効果  E少子化対策


    (1)経済波及効果

      レジャーおよび観光産業に対する個人消費の増加は871億円(1時間の場合484億円)、経済波及効果は1,165億円(同648億円)となる。
      (個人消費の増加は、北海道のGDP比で約0.4%に相当)

      @レジャー産業(活動時間増加)
        一人当りの「レジャー活動」時間が「22分」増加し、その結果、道内の個人消費は774億円 (同387億円)増加する。

         日常の生活時間を「必需行動時間」(睡眠など)、「拘束行動時間」(仕事など)、「自由行動時間」の3パターンに分類し、生活時間が2時間前倒しになる事により生じた、「自由行動時間」内の日照時間2時間に着目した。
         これによって、「テレビ」など主に室内の自由時間が、屋外の「レジャー活動」などに振り替ることにより、新たな消費行動が誘発されると考えた。

      A観光産業(道外観光客の増加)
        道外からの観光客数が2.6%増加することにより、観光の消費額は97億円増加する。
        北海道サマータイムの導入で生じる様々な効果によって、北海道の関心や魅力が高まり、観光の面でも経済効果が期待できる。

    (2)交通安全確保・防犯効果

      @アメリカでは、サマータイム(daylight saving time)実施により、交通事故の負傷者が2,000人減少し、2,800万ドル(33.6億円:120円/$)の事故コスト負担が節約できたとの報告がある。
      A北海道における犯罪と交通事故の発生時間帯は、朝より夕方に集中している。交通事故は朝夕の通勤に集中し、刑法犯は夕方と深夜に集中している。この点に関しては、更なる調査により日照との関係を分析できる可能性が残っている。

    (3)省エネ効果

      「地球環境と夏時間を考える国民会議」(H11.5.13)の報告によると、4月〜9月までの6カ月において、1時間サマータイムを実施した場合、全国では原油換算で年間50万kl、約260億円(52円/l換算)が節約となる試算である。
      これをもとに北海道における概算(2時間計算)を行うと、原油換算で年間4万kl(GDP比4%)、約20.8億円(52円/l換算)が節約となる。道民1世帯あたりでは、830円となる。
      <但し北海道の気候等の特殊事情は考慮していない>

    (4)北海道PR効果

      札幌証券取引所が世界で一番早く開くことなり、北海道をPRできる。
      また、「構造改革特区」との組み合わせにより、更に効果を大きくすることも考えられる。

    (5)教育・意識効果

      @教育の効果
         環境教育にとって、大きな効果が期待できる。学校の先生も初めての経験であり、自らエネルギー問題やライフスタイルのあり方について勉強し、周囲の意見などに耳を傾けるなど、まずは教育者側に効果が期待できる。
        少なくとも年2回、生徒と一緒にサマータイムの意義や環境問題について考える機会がある。環境教育への独特な取り組みによって北海道をPRでき、注目される可能性がある。

      A意識効果
        年2回の時計変更により、個々が環境やライフスタイルについて考える、意識改革の機会となる。帰宅途中が明るくなることで、生活空間に対する関心や街づくりへの意識が高まり、環境に対する関心、ボランティア活動、観光地としての情報を発信する契機となる。

    (6)少子化対策

        少子化対策として、子育てと仕事が両立できる環境づくりが重要である。結婚生活で楽しめる時間をつくるためには、長時間労働や有給休暇が取得できないような働き方も改められる必要がある。その一つの方策として、明るい自由行動時間を増やすサマータイム制度が、仕事優先の価値観を変えるという意味で期待されている。

3.サマータイム導入に伴う問題点
    (1)導入コスト

      システム変更の費用は、「地球環境と夏時間を考える国民会議」(H11.5.13)の資料から試算すると、北海道では導入時に41.2億円となる(本道GDP全国比4%で計算、ハードウェア改修費24.4億円、ソフトウェア改修費16.8億円)。この点については、実施国を調査するなど、コスト面などに研究余地がある。

    (2)その他サマータイム導入に向けて対処すべき問題
@労働強化の可能性(本支店間の問題含む) A睡眠不足の不安
B交通ダイヤの調整 C金融機関の決済時限
D時刻指定の契約の問題 Eテレビ番組・新聞の問題など


4.結論
    北海道の時計を進めようとするだけで、様々な効果や課題に直面した。
    サマータイム導入の選択基準として、全ての分野について、ベネフィット又はコストを量的に算出することには限界があり、また問題点の完全解決にも課題が残る。しかし、北海道を活性化するために経済効果を追求することは重要であり、また地球環境について考える機会や、ライフスタイルの変革を真剣に追求することにおいても、導入する意義が十分に認められる。
    北海道サマータイムは、これを新たなビジネスに活用したり、北海道人の気質において楽しんだり、または様々なアイディアが出されることによって、新たな北海道の魅力を創造できる可能性がある。
    (調査協力:北洋銀行 調査課)


サマータイム2時間実施による、レジャー活動時間の変化の予測


活動時間の内訳

(注) 時間量の合計は24時間に一致せず。同一時間帯に行われる複数の行動は、それぞれ独立行動として集計