コラム

■第6回 ご子息が事業を承継する理由と、しない理由  北原慎一郎

 上図は「事業承継を決めた理由」(中小機構/2007年)と「承継しない理由」(中小企業白紙/2005年)をマインドマップに表したものです。

 事業承継をする理由で最も多いのは、それが「家業だから」です。6割を超えています。例えば、家業が「理髪業」や「呉服卸業」などで、小さな頃から時間をかけて「家業」を刷り込まれると、後継者も当たり前として受け入れます。その家業をあまり好きでなくても心配いりません。「家業だから」承継を決意した後継者のうち、家業が「自分に適している」と考えたのはその半分で、残り半分は「やむをえず」受け入れています。それだけ「家業だから」は大きな要因となります。

 また、承継理由で注目したいのは「会社経営に魅力を感じたから」が26%もいるということです。「事業は何でもよかった。ともかく自分はマネージメントをしたかった。たまたま父親が〇〇業だったから、それを選んだんだ」という後継者は意外と多いのです。やっている仕事の面白さを具体的に伝えにくい場合は、人に使われるより人を使う方が面白いことを伝えるのも一つの方法です。

 「会社をもう少し魅力的にしてから後継者に譲ろう」と考える経営者は多いですし、それは自然な発想です。でもキリが無いですね。しかも、後継者が承継を決意するときに会社の将来性はそれほど大きなプラス要因にはなっていません(5%)。確かにマイナス要因にはなります。明らかに将来性が無い場合は、「火中の栗を拾う」ことはしないでしょう(46%)。後継者にとって承継するかどうかは、自分の人生を賭けたリアルな問題だからです。でも、それは会社が苦しければ継がないと言うことでもありません。「会社が厳しい時の方が社員の気持ちを動かせるので良い」と考える後継者は好機と捉えます。

 承継しない理由で「親の事業に将来性・魅力がないから」(45%)とともに多いのは、「自分には経営していく能力・資質が無い」(36%)です。でも、現在カリスマと言われている経営者も起業した時や継承した時は不安で一杯でした。自信満々で会社を継いだ社長なんていません。父親の「失敗したって良いんだ。またやり直せば良いんだから」の一言で勇気が湧いたという後継者もいます。

 承継理由として、「社長に説得されたから」(23%)も多くを占めます。社長の説得は効果的です。何も上手くいった話をする必要はありません。むしろ苦しいなかで本気で経営に取り組んだ姿が心を動かします。失敗談だっていいんです。「負けずに頑張る親父の姿を見てかっこいいと思った。いずれ継ぐという気持ちが、継ぎたいと言う気持ち変わった」と語ってくれた後継社長もいます。まずは、「継いで欲しい」と言葉にして伝えましょう。「親父、ごめん」と言われたら、そこからが本当の勝負です。会社の営業もそうやって断られたところから積み上げてきたではないですか。






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