原油等価格高騰による経営危機突破緊急対策への要望
原油等価格高騰による経営危機突破 緊急対策について

空前の原油・原材料価格の高騰は本道経済に深刻な影響を及ぼしています。企業は、仕入価格の高騰により採算や収益が悪化し、なかでも中小企業の経営は一段と厳しさを増しています。食品価格をはじめとする諸物価の高騰は個人消費の低迷を招き、市民に先行きや雇用への不安を生じさせております。

これまで我々は、不断の企業努力により、幾多の苦境を乗り越えてきたものの、既に自助努力による対応の限界を超えており、このまま抜本的な対策が講じられなければ、地域経済に極めて大きな打撃をもたらすものと危惧されます。

特に北海道は、近年の公共工事減少や北海道開発局の統廃合論議の進む中、依然として厳しい経済状況にあることに加え、企業経営はもとより市民生活においても積雪寒冷による冬季の灯油消費や、広大な面積による自動車利用頻度の高さから、燃料高騰の影響は他府県に比して、極めて甚大です。

こうした事態に鑑み、中小企業の経営安定はもとより、市民生活の不安を取り除く具体的で実効ある緊急対策として、特に下記事項につきまして、特段のご尽力を賜りますようお願い申し上げます。

1.セーフティネット貸付の拡充など金融支援の強化
  • セーフティネット貸付(経営環境変化資金融資)等について、対象業種の拡大、貸付金利の引き下げ、貸付金額の拡大など同制度のさらなる拡充を図ること。
  • 原材料価格高騰に対応した新たな信用保証制度を創設する等、中小企業の資金繰りを支援する金融政策を実施すること。

2.経営安定を図るための助成金など補填制度の創設
  • 製造業、運輸業、農林水産業等の経営安定を図るため、産業用油種(軽油・重油)等の安定供給及び価格の安定を図るとともに、助成金等直接的な補填制度を創設すること。

3.物流基盤を維持するための諸対策の推進
  • 燃料コストに対する緊急の支援策として、時限的に揮発油税、軽油引取税を引き下げる措置を実施すること。
  • 北海道と本州を結ぶトラック物流には内航海運の利用が必要であり、燃料高により上昇しているフェリー運賃等の、物流業者への負担増の補填を実施すること。
  • 国家備蓄石油の緊急放出による、中小企業等への燃料供給支援策を実施すること。
  • 燃料サーチャージ制の導入と適正取引に関する行政機関の指導を強化すること。

4.単品スライド条項の運用拡大等による請負価格の適正化
  • 公共工事における「単品スライド条項」適用に関し、対象となっている鋼材類と燃料油以外の工事材料も高騰している為、適用幅の拡大を行うこと。また煩雑な手続きの簡素化を図ること。
  • 除排雪事業の円滑な実施を維持する観点から、事業者への補助等も含めた対策を実施すること。
  • 最低制限価格の引き上げによる、入札価格の適正化を図ること。

5.住宅ローン減税の延長・拡充等の需要喚起を促す政策の導入
  • 住宅ローン減税の延長・拡充や、自動車取得税の時限的な減税等、消費者の購買意欲を喚起する対策を実施すること。

6.食料自給率を向上させるための政策の実施
  • 食料自給率を向上させるため、農林水産業の育成や食品業界への技術援助等の対策を実施すること。また、フードマイレージの考え方を取り入れ、地産地消の拡充など、環境負荷を軽減する食料政策の実現を図ること。

7.原油への投機的資金流入の規制
  • 原油市場と穀物市場における投機的要因による高騰を回避する為、市場透明性の向上、ヘッジファンド等の投機マネーの国際的規制など、政府による監督・規制の強化、および各国政府への働きかけを強化すること。

8.地域経済と共存共栄する省・新エネルギー活用の促進
  • 省エネルギーの推進や新エネルギーの開発は原油高騰に対する数少ない根本的な対策であり、これらを保護・育成する助成や補助の拡充を図ること。

平成20年9月2日

札幌商工会議所 会頭 高向 巖