空き家対策コラム
大都市での空き家の対策について
一般財団法人日本不動産研究所 公共部 技術活用推進室  浅尾 輝樹 氏


はじめに
「空家等対策の推進に関する特別措置法」が平成27年5月に完全施行された以降、自治体では空家等対策計画の策定等、
空家の適正管理、利活用に関する施策を実施してきている。
 空家対策の特徴は、空家の管理、利活用を行う主体は第一義的には所有者と、それを実現するための民間事業者であるという点であり、自治体は、特定空家等の措置等の一部を除き、あくまでもサポートを行うにとどまるという点であろうと思われる。
 以下、大都市で行われている空家の利活用に関する取り組みを紹介する。
 
事例1. 東京都大田区 空き家等地域貢献活用事業
大田区では平成26年12月から専用窓口を設置し、空き家のオーナーと活用希望者とのマッチング事業を行っている。
空き家バンク等のマッチング事業は、現在多くの自治体で行われているが、大田区では自治体や関連の資格者が、相談やコンサルティングなど積極的に関わることにより、家庭福祉員としての活動場所、子どもの遊び場、英会話サロン、グループホーム等、単に住むことに限定されない多種のニーズ発掘とマッチングに成功している。
また、大田区では、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業として、いわゆる特区民泊を進めており、現在、区内で32の施設が認定を受けている。
民泊は、違法な営業、近隣住民とのトラブル等、クリアしなければならない課題をはらんでいるが、大田区の取り組みは先進事例として注目される。
 
事例2. 東京都豊島区 リノベーションスクール
豊島区は、総務省の平成25年住宅・土地統計によれば、東京都23区内で最も空家率が高く、公民あげて空家対策に取り組んでいる。
リノベーションスクールとは、遊休不動産を活用した都市再生手法を実践を通して学ぶ「まちづくりのための短期集中スクール」で、その中の事業計画コースでは、所有者から提供された実際の空き物件を対象に、国内の先駆的なリノベーション事業者であるユニットマスター(講師)と、全国から集まる受講生が一丸となって、具体的なリノベーションの事業プランを3日間かけて作成する。
なお、スクールの様子は、You Tubeでも配信されている。
現在まで3回行われ、この中で検討された事業プランで実際に稼働に結びついたものもある(カフェと旅館「シーナと一平」)。
 
事例3. 大阪市 空家活用 好 事例集
大阪市は、平成25年住宅・土地統計によると、空家率が17.2%と、全国平均の13.5%と比べ高水準である。
大阪市では、空家等の活用事例について、建物所有者や事業者にヒアリングを行い、事例集を作成している。
事例集では、地域拠点サロン、デイサービス、店舗、子育て支援、料理教室兼レストラン、障がい者福祉施設、ゲストハウス、アトリエ等、多様な利活用事例がわかりやすく紹介されている。
 
おわりに
以上、空家対策のほんの一例を紹介したが、空家等の対策はまだまだ始まったばかりである。
空家売却時の所得税の控除、全国版空家バンクの検討、準公営住宅化の検討、国土交通省による先駆的空家対策モデル事業等、今後、各種施策の実施に伴い、さまざまな空家の利活用が生み出されると思われるので、ぜひ、今後も国や自治体、資格者団体の動向にご注目いただきたい。